いま世界各国で競って研究開発が行われ、急速に発展しつつあるコヒーレント光ファイバ通信について、斯界の第一人者である筆者らにより、理論的ならびに実験的基礎を、体系的にまとめています。研究者座右の書。

1章　概説
 　　1.1　なぜコヒーレント光ファイバ通信を研究するのか？
 　　1.2　歴史的背景
 　　1.3　ヘテロダイン/コヒーレント方式の定義と分類
 　　1.4　ヘテロダイン（ホモダイン）/コヒーレント方式による
　　   　受信感度の改善
 　　   　　二つの感度改善効果
 　　   　　ショット雑音限界
 　　   　　ヘテロダイン化による感度の改善
 　　   　　コヒーレント変復調による感度の改善
 　　1.5　ヘテロダイン化による周波数選択特性の改善
 　　1.6　関連する技術的問題点
 　　1.7　本書の構成

2章　ヘテロダイン/コヒーレント方式による受信感度の改善
 　　2.1　まえがき
　　2.2　ショット雑音限界
 　　2.3　種々の検波方式の比較
 　　   　　低雑音なだれ光ダイオードを用いる直接検波
 　　   　　低雑音レーザ前置増幅器
 　　   　　光子計数技術
 　　   　　フォトダイオ－ドを用いたヘテロダイン検波
 　　2.4　ヘテロダイン/コヒーレント方式による感度改善
 　　   　　ヘテロダイン検波による受信感度の改善
 　　   　　種々の変復調方式およびホモダイン検波による感度改善
 　　2.5　光受信機の雑音解析
 　　   　　IM-DD受信機における信号と雑音
 　　   　　ヘテロダイン受信機における信号と雑音
 　　2.6　ヘテロダイン検波による受信感度改善の計算
 　　   　　APDを使った強度変調・直接検波方式
 　　   　　ASKヘテロダイン同期検波方式
 　　   　　ASKヘテロダイン包路線検波方式
 　　   　　　数値計算の結果
 　　2.7　種々の変復調方式およびホモダイン検波方式による
　　　　 受信感度改善の計算
 　　   　　FSKヘテロダイン同期寒波方式
 　　   　　ヘテロダイン包路線検波方式
 　　   　　PSKヘテロダイン同期検波方式
 　　   　　PSKヘチロダイン差動同期検波方式
 　　   　　ホモダイン検波とヘテロダイン検波
 　　   　　多値FSKとPSK方式
 　　2.8　符号誤り率（BER)の計算のまとめ
　　　　（位相雑音の影響を無視した場合）
 　　   　　各種方式の比較
 　　   　　符号誤り率の近似式
 　　   　　単位信号ビット当たりの光子数によるショット雑音k
　　   　　限界時のSN比の表現式
 　　   　　BER＝10-9を実現するのに必要な単位ビット当たりの光子数
 　　2.9　光源の位相雑音による受信感度の劣化についての計算
 　　   　　各種の光通信方式における雑音
 　　   　　　　基本式
 　　   　　　　ヘテロダイン包路線検波方式
 　　   　　　　ヘテロダインコヒーレント方式
 　　   　　各種ヘテロダイン方式における符号誤り率劣化の計算
 　　   　　　　ASKヘテロダインコヒーレント方式
 　　   　　　　PSKヘテロダインコヒーレント方式
 　　   　　　　FSKヘテロダインコヒーレント方式
 　　   　　　　ヘテロダイン　DPSK方式
 　　   　　　　SN比が無限大であるときの符号誤り率
 　　   　　ホモダイン方式における符号誤り率の劣化
 　　   　　理論的BER劣化に対する実験的検証
 　　2.10　まとめ
　　付録

3章　半導体レーザの雑音とその影響
 　　3.1　まえがき
　　3.2　半導体レーザ雑音の半古典論
 　　   　　レーザ発振器およびレーザ増幅器における量子雑音
 　　   　　　　受動素子が発生する雑音
 　　   　　　　レーザ発振器およびレーザ増幅器が発生する雑音
 　　   　　スペクトルによる半導体レーザ雑音の評価
 　　   　　　　AM雑音スペクトル
　　   　　　　FM雑音スペクトル
　　   　　　　FM雑音とAM雑音のクロススペクトル
　　   　　　　フィールドスペクトル
　　   　　半導体レーザ雑音の半古典論
 　　   　　　　基本方程式
 　　   　　　　van der Pol 方程式
 　　   　　半導体レーザ雑音の線形的な取扱い（Ⅰ）：断熱近似
 　　   　　　　半古典的方程式の線形化
 　　   　　　　断熱近似
 　　   　　　　雑音スペクトル
　　   　　半導体レーザ雑音の線形的な取扱い（Ⅱ）：厳密解
 　　   　　FM雑音スペクトルにおける1/f雑音の影響
 　　   　　j半導体レーザ雑音の非線形的な取扱い　
 　　3.3　雑音スペクトルの測定法および基本的な
　　   　　雑音パラメータ
　　   　　FM雑音スペクトルの測定
 　　   　　AM雑音の測定
 　　   　　AM雑音とFM雑音のクロススペクトルの測定
 　　   　　フィールドスペクトルの測定
 　　   　　　　光スペクトル解析
 　　   　　　　ヘテロダイン検波
 　　   　　　　遅延自己ヘテロダイン方式
 　　   　　　　FM雑音スペクトルとIFスペクトルとの関係
 　　   　　　　フィールドスペクトルの推定
 　　   　　雑音スペクトルによる基本雑音パラメータの評価
 　　3.4　半導体レーザ雑音に関する技術の現状
 　　   　　スペクトル線幅
 　　   　　α　値
 　　3.5　位相分散とFM雑音およびスペクトル線幅 との関係
 　　   　　種々のコヒーレント方式における位相分散の理論的表現
 　　   　　　　ヘテロダイン同期検波方式
 　　   　　　　ヘテロダインDPSK方式
 　　   　　　　ホモダイン方式
 　　   　　位相分散とスペクトル線幅の関係（Ⅰ）：白色雑音の影響
 　　   　　　　位相分散の表現
 　　   　　　　PSK方式の実現可能性
 　　   　　　　位相分散とスペクトル線幅の関係（Ⅱ):緩和共振の影響
 　　   　　　　位相分散とスペクトル線幅の関係（Ⅲ）：1/f雑音の影響
 　　3.6　まとめ

4章　半導体レーザの特性改善
 　　4.1　まえがき
　　   　　スペクトルの高純度化
 　　   　　周波数安定化
 　　   　　位相追尾
 　　   　　直接コヒーレント変調
 　　4.2　スペクトル線幅の狭窄技術
 　　   　　外部共振器モード動作
 　　   　　自己注入同期
 　　4.3　中心周波数の安定化
 　　4.4　位相同期技術
 　　   　　光位相同期ル－プ
　　   　　注入同期
 　　   　　位相同期特性の解析
 　　4.5　変調技術
 　　   　　周波数変調
 　　   　　位相変調
 　　   　　振幅変調
 　　4.6　まとめ

5章　コヒーレント光ファイバ通信用受信機
 　　5.1　まえがき
　　5.2　コヒーレント光受信機の基本構成
 　　   　　ASK受信機の構成
 　　   　　　　光ハイブリッド回路
 　　   　　　　受光器(周波数混合器）
 　　   　　　　フロントエンド増幅器
 　　   　　　　等化器
 　　   　　　　符号弁別器
 　　   　　FSKおよびPSK受信機の構成
 　　5.3　光受信機の雑音源
 　　   　　受光器の雑音
 　　   　　　　信号光によるショット雑音
 　　   　　　　背景光と暗電流によるショット雑音
 　　   　　　　PDとPDの典型的な特性
 　　   　　電子回路雑音の一般的表現
 　　   　　FETフロントエンド回路の雑音
 　　   　　ハイポーラ　トランジスタフロントエンド回路の雑音　
 　　5.4　フロントエンドの基本構成
 　　   　　分類
 　　   　　抵抗終端型フロントエンド
　　   　　高入力インピーダンス型フロントエンド
　　   　　トランスインピーダンス型フロントエンド
　　   　　LC同調型フロントエンド
　　5.5　位相ダイバーシティ型ホモダイン受信機
 　　   　　技術的背景
 　　   　　二相ダイバーシティ方式
 　　   　　三相位相ダイバーシティ方式
 　　   　　検討
 　　5.6　まとめ

6章　半導体レーザ増幅器
 　　6.1　まえがき
　　6.2　半導体レーザ増幅器の分類
 　　6.3　半導体レーザ増幅器の雑音特性
 　　   　　雑音特性の解析
 　　   　　　　マスター方程式
 　　   　　　　光子揺らぎの評価
 　　   　　レーザ増幅器の雑音指数
 　　6.4　直接検波システムへのレーザ増幅器の応用
 　　   　　光前置増幅器
 　　   　　光中継器
 　　6.5　コヒーレント光通信システムへの
　　　　 レーザ増幅器の応用
 　　   　　光前置増幅器
 　　   　　光中継器
 　　6.6　まとめ

7章　システム実験
 　　7.1　まえがき
　　7.2　ASKヘテロダイン/ホモダインシステムの
　　　　 BER測定
 　　7.3　FSKヘテロダイン（PSK-FMを含む）システムの
　　　　 BER測定
 　　7.4　PSKヘテロダイン/ホモダインシステムの
　　　　 BER測定
 　　7.5　DPSKヘテロダインシステムのBER測定
 　　7.6　1986年時点での研究成果のまとめ
　　7.7　まとめ

8章　単一モード光ファイバ中の偏波ゆらぎとその制御
 　　8.1　まえがき
　　8.2　任意の偏波状態の数学的表現
 　　   　　完全偏光、部分偏光、無偏光
 　　   　　部分偏光の表現（コヒーレンス行列）
 　　   　　完全偏光と無偏光の和による部分偏光の表現
 　　   　　偏光度
 　　8.3　完全偏光状態の図示方法
 　　   　　基本式とパラメータ
　　   　　ポアンカレ球
 　　   　　完全偏光の偏波状態表示のための平面図表
 　　   　　SOP平面図表上の特性曲線
 　　   　　　　等R円群
 　　   　　　　等φ　円群
 　　   　　　　等ψ同心円群
 　　   　　　　等α直線群
 　　8.4　単一モード光ファイバ中の偏波状態のゆらぎ
　　   　　受信機偏波状態ゆらぎによるヘテロダインまたはホモダイン
　　   　　受信機の感度の劣化
 　　   　　単一モード光ファイバ中の偏波状態ゆらぎの測定
 　　   　　単一モード光ファイバ中の偏光度の劣化
 　　8.5　偏波状態制御素子
 　　   　　偏波状態（SOP)制御機構の分類
 　　   　　第Ⅰ類のSOP制御原理を用いる素子
 　　   　　　　ファイバ加圧器
 　　   　　　　電気光学結晶
 　　   　　第Ⅱ類のSOP制御原理を用いる素子
 　　   　　　　回転位相板
 　　   　　　　回転ファイバコイル
　　   　　　　回転型ファイバクランク
　　   　　第Ⅲ類のSOP制御原理を用いる素子
 　　   　　種々のSOP制御機構の特徴
 　　   　　　　挿入損失
 　　   　　　　無制限追尾制御性
 　　   　　　　時間応答
 　　   　　　　機械的疲労の有無
 　　   　　SOP制御実験
 　　   　　　　回転型ファイバクランクを用いたSOP制御実験
 　　   　　　　ファラデー回転子を用いたSOP制御実験
 　　   　　まとめ
　　8.6　偏波ダイバーシティ光受信機
 　　   　　原理と特徴
 　　   　　システムの構成と解析
 　　   　　3種類の基本的な信号合成法
 　　   　　SN比改善のための他の方法
 　　   　　中間周波増幅器における位相の自動制御
 　　   　　実験
 　　8.7　まとめ

9章　偏波保存光ファイバ
　　9.1　まえがき
　　9.2　偏波保存光ファイバの分類
 　　   　　直線偏波保存（LPM：Linear-Polarization Maintaining)
　　   　　　　絶対単一偏波ファイバ（または差働減衰型ファイバ）
 　　   　　　   　構造誘起型単一偏波ファイバ
　　   　　　   　応力誘起型単一偏波ファイバ
　　   　　　　直線複屈折ファイバ
　　   　　　   　構造誘起型複屈折ファイバ
　　   　　　   　応力誘起型複屈折ファイバ
　　   　　円偏波保存（CPM：Circular-Polarization Maintaining）ファイバ
　　9.3　偏波保存光ファイバの研究開発の歴史
 　　9.4　種々の偏波保存光ファイバの原理、特性と
　　   　それらの比較
 　　   　　絶対単一偏波ファイバ
　　   　　絶対単一偏波ファイバの特性パラメータ
　　   　　直線複屈折ファイバ
　　   　　直線複屈折ファイバの特性パラメータ
　　   　　円偏波保存ファイバ
　　   　　直線偏波保存（LPM)ファイバと円偏波保存（CPM)ファイバの比較
 　　9.5　まとめ

10章　結言
 　　10.1　はじめに
　　10.2　システム設計の動向
 　　10.3　究極の受信感度と中継器間隔
 　　    　　　最大送信パワー
　　    　　　信号ピット当たりに必要な光子数
 　　    　　　中継器間隔の限界
 　　10.4　半導体レーザの雑音
 　　10.5　偏波状態変動の対策
 　　10.6　狭周波数間隔周波数多重の可能性
 　　10.7　まとめ

索引